代表者プロフィール

忘れることのできないある社長のお話

東京で調査員として活動し始めた時、私はまだまだ駆け出しで、調査報告書を書くのに毎日夜中まで書いた報告書の修正を上司がチェックしてくれ、それを再度修正し提出することが毎日行うことをまだやっていた頃だった。
調査員は、毎日毎日必ず2件の調査報告書を提出しなければならず、取材もこなしつつ、色々なところへ調査に行っていた。
そんなまだ調査員として2ヶ月の研修を終え一人で外出できるようになったそんな時だった。
豊島区にある企業に調査で赴いた。
駅から歩いて徒歩10分程のやや不便な場所にあるビルに入居していた。
その会社の社長は今の私とほぼ同じくらい。
40歳前後の、本当に会社を登記し独立を果たしたばかりの社長だった。
教育関連のIT化を進めたいという信念のもとに事業を起こした社長だった。
独立したのも初めてであり、経験もないけど、でもなんとか実現したいことがあるから、そしてまだまだこれから色々勉強したいからと言って、私を可愛がってくださった。

今では一般的になりつつあるが、モニターなどを通してeラーニングをすることができる技術を世に出して、教育を受ける権利をもっと拡大していきたいと意気込んでいた。
情熱に燃え、そしてその実現を本気で願っていたのがお話ししているとひしひしと伝わってきた。
この社長さんの役に立ちたいと願い、私はどうやったらこの社長さんの役に立てるかを考えた。
立ち上げたばかりで社長さんの他に社員さんがいるわけではなく、社長の行動力だけが会社の業績を向上せしめる唯一の方法であった。

それに対して、私は営業に役立つ営業用のリストを提案することにした。
新しい企業に提案するリストを使って営業をすることを提案した。
社長はその提案にうなづいてくれ、私もお客さんの役に立つものを提供でき、それだけでは社長さんができるかどうか不安だというので、電話をしたときに営業で使うトークなんかも社長と一緒になって考えた。
それから数ヶ月が経ち、また調査で伺うと新しい若い人の姿が見えた。
技術的な部分を助けてくれる人を雇用したという話だった。
若くて優秀なんだと社長は言っていた。
そう、雇用できるほどに業績は伸長していたのだ。

私は本当に嬉しかった。
その最初からの出会いから、この社長さんには事あるごとに連絡し、最近は順調ですか?
と声をいつもかけていた。
いつしか、急成長を遂げ、社員さんを10人も抱えるなど順調に伸びていっていた。
そんな時、また調査が入りアポを取って訪問をした。
会社のドアを開けると人が少ない。
というかほとんど人気がない。
社長が顔を上げながらこちらを向き、いらっしゃいと力なく言った。

聞いて声を失った。
若い技術者で優秀だと言っていた人が全てのデータと技術を、一人の社員を除いて引き連れライバル会社に転職したのだった。
PCのデータから何から全て消されていたのだった。

社長は途方に暮れていた。
これからどうしたらいいのかと。
私はそんなことをした若い社員を本当に許せなかった。
役員にまでしてくれたのに、そんなことをするなんてと。
結局その会社はその後一時的に回復するのだが、結局そのライバル会社に敗れて倒産してしまうのだ。

私はこのことが忘れられない。
なぜ私はもう少しこの会社のことを支援できなかったのかと。
もっと何かができたのではないかと。
そんなことが起きる前も、そして起きた後も、何か手が手があったのではないかと…

私がいようといまいと伸びる会社は伸びるし、決して自分が何かをしたら倒産を回避できたなどと自惚れるつもりはない。
力及ばずの若造が何をできたのかと今でももちろん思う。

しかし!
私には本当に力が足りなかった。
この社長さんを救う行動が徹底してできなかったのは事実だった。

それ以来だ。
倒産しそうな企業を調査し倒産しそうと書くのは簡単なことだ。
でもそうではない。
我々にそんなことを打ち明けたくて打ち明けている社長なんて一人もいないはずだと。
ならば、そのお返しにではないが、何か役に立てるならできる限りのことをやっていこうと思ったのは。

今でも、その時のことを夢に見たり思い出したりする。
もちろん名前も忘れない。
この出来事から感じるのは、やはりこんなことはできるだけ起きて欲しくない。
其のために私は何ができるかをこれからも考えていきていこうと決意した。
それが独立した今でも同じだと思っている。

そんな会社、社長を一人でもなくすことを目指し日々行動している。

企業経営は人が幸せになるための活動

これまでに延べ約3,000社の経営者と出会い企業経営を経営者の方への助言や、一緒によくするための行動をしてきた自負や
企業経営を研究してきた結果などから、いい会社をたくさん作りたいとの想いを強く抱くにいたり、2015年独立を果たしました。
これまでどんな会社がいい会社なのかと、誰もが納得がいく会社像というのを追い求め、研究してきています。
正直申し上げると、これが間違いなく経営の正解なんだという答えを見出せているかは未だまだわかりません。
しかし、それを求めていることが一つの正解なんだと思っています。